【嵐のように抱きしめて】
自分が選んだ、たった独りの人。 宴の後に、仲謀と二人になって、気持ちを改めて伝え合った。 大事にしたいと自分が思うように、その人も自分を大切にしてくれると云ってくれた。 選ぶまでのまっすぐな告白も、花の胸を突いた。 ――ちょっと……恥ずかしいけれど。 そんなにかわいい、と云われても困ってしまう。 初めて会った時の良くない印象とはまるで違う面を見せるようになった年下の仲謀にこれからも甘やかされてしまうのだろう。 自分の発言が仲謀の心を走らせしまったらしく、噛みつくようなくちづけを受けた。しかし勢い良く奪うのに、仲謀のくちづけは優しく甘い。 ――三度目だ。 仲謀が離れていく時に、花はそっと思った。 ――一度目は事故、二度目は仲謀にやり直しさせられて………、じゃあ、三度目は? 仲謀が仕掛けてこなかったら、どうしてただろうか。 花は少し考える。 ――うう、私からはまだ出来ないかもしれない……。 仲謀がそばにいることを感じられるくちづけは、初めの事故の時と違って、やり直しをした時にはすとんと受け入れられた。 だから、くちびるを開放されたはほっとしたけれど、離れたのがさみしくて、花は仲謀の服の袖をつかんだ。気付かれないようにそっとつかんだのに、仲謀が身動ぎした。 「あ、ごめん」 名残惜しく指を離すと、その指も含めた手のひらがすぐに仲謀の大きな手に包まれた。 「えっ――?」 驚くと、仲謀が眉をひそめて自分を見た。 「なんだよ。服つかむくらいなら、こっちでいいだろ」 ふてくされたように云う仲謀に、花は既視感を感じた。 ――前にも、こんなこと、あった……。 確か、過去から今いる世界に戻った時だ。 あの時はきちんとこの世界に仲謀と戻ってくるために、離れないようにつかんだものだった。 でも、今は違う。 仲謀の手は熱い。何度か触れた時に、あたたかいと感じた。けれど、今はとても熱く感じる。
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